2019年10月、史上最年少19歳の囲碁名人が誕生した。 「20代の名人はありえない」と言われた中、林海峰名誉天元が23歳で名人を獲得したのが1965年のことだった。 それから44年後の2009年に井山裕太四冠が20歳で名人の座に就いた。 さらにその10年後、芝野虎丸名人が20歳の壁を破り、初の10代名人となった。 令和最初の名人・芝野虎丸は、新しい時代を象徴するかのように、歴代のタイトルホルダーとは全く違うタイプの棋士だ。 「もともとそんなに勝ちたい、トップに行きたいという気持はない」 「自分は棋士に向いていないのかなと」 「この一局にかける、などと思ったことはありません」 どのセリフをとっても、これまでの棋士からきいたことのないものばかりだ。 従来のトップ棋士のやり方。 従来のトップ棋士は、だいたいこんな経過をたどってプロ入りした。 小学校入学前後に碁を覚え、地元で「神童」と呼ばれるほ