衆院選も終盤に向かう中、株式の売却益などに課される「金融所得課税」の見直しを巡る論議が低調だ。税の負担率が軽い「富裕層」の不公平感を正し、格差是正にもつなげる狙いがある。富裕層への課税強化は国際的な流れで、野党の多くも訴える。しかし、株安を招きかねないとして反対論は根強く、自民党などは及び腰だ。なぜ課税論議は進まないのか。改めて考えた。(太田理英子、森本智之)
金融課税、重要課題に明記へ 格差是正、来年以降議論―政府・与党 2021年11月17日08時45分 今年度税制改正大綱をまとめた昨年末の自民党税制調査会総会=2020年12月10日、東京都千代田区の同党本部 政府・与党が岸田文雄首相の掲げる所得再分配に向け、来年以降に金融所得課税の強化を本格的に議論する方向で調整に入ったことが16日、分かった。年末に決定する来年度税制改正大綱で、重要テーマとして議論を継続する「検討事項」に明記する。金融課税の強化には異論が根強いが、格差是正を目指す岸田政権の重点課題に位置付ける。 投資敬遠の恐れ 金融課税強化、市場が警戒 給与などの所得課税は収入が多いほど税負担が重くなる「累進課税」と呼ばれる仕組みで、税率は最大55%。これに対し、株式譲渡益や利子収入といった金融所得は税率が一律20%に設定されており、収入全体に占める金融所得の割合が高いほど税負担は軽くな
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