「東海予知」ハードル高く 「過去30年の地震学が崩壊した」。東日本大震災の巨大地震に地震学者が打ちひしがれている。史上最大の地震を予測できず、研究を防災に生かせなかったからだ。敗北の裏には、過去の経験則に基づく地震学の限界があった。東海地震の予知もハードルは高く、「予知失敗」を前提とした対策が求められる。(長内洋介)前例がない マグニチュード(M)9・0の巨大地震は、なぜノーマークだったのか。政府の地震調査委員会で長期予測に携わってきた島崎邦彦東大名誉教授は、まず「歴史の空白」を挙げる。 日本は地震の記録が世界で最も多く残っている国だ。史上最古の地震は日本書紀に書かれた大和時代の416年。その後も京都などで日記や歴史書に記載され、江戸時代の大地震はすべて記録されている。 ところが、都から遠く離れた東北地方では平安時代半ばから江戸初期までの数百年間、記録がまったくない。今回のような巨大地震は