奈良と京都の寺社などで油のような液体がかけられる被害が相次いでいる。7日には、京都市の世界遺産・二条城でも同様の被害があったことが分かった。奈良県警が文化財保護法違反などの疑いで捜査しており、各地の寺社や自治体は警戒を強めている。 二条城の被害は、京都府教育委員会や京都市元離宮二条城事務所が7日、取材に対して明らかにした。国宝・二の丸御殿で2月12日、見つかったという。 二の丸御殿は建物6棟が廊下でつながっており、うち最大の「遠侍(とおざむらい)」▽大名が老中職とあいさつを交わした「式台」▽将軍が諸大名と対面した「大広間」▽将軍と親藩、譜代大名が内々に対面した「黒書院」――の4棟の廊下やふすま、障子、金具など計19カ所に油のような液体をかけられた痕跡があったという。 二の丸御殿は1867(慶応3)年、江戸幕府の最後の15代将軍・徳川慶喜が大政奉還を表明した場所として知られている。武家風書院