最愛の家族との幸せな日々が奪われた。 事故を起こしたその相手が目の前にいる。 「冷静に。怒らない。面会の目的を見失わない」 自分を落ち着かせるためにとメモのいちばん目立つ場所にそう書き留め、面会室に入りました。 東京・池袋で起きた暴走事故で妻と娘を亡くした松永拓也さん。義理の父親とともに、加害者である高齢の受刑者と対面しました。 ことばを交わした40分。深い葛藤のなか、それでも加害者と向きあう決意をした遺族の心の軌跡を追いました。 (社会部 田畑佑典記者 / 沖縄放送局 上地依理子記者) 池袋暴走死亡事故 2019年4月19日午後0時23分ごろ、東京・豊島区東池袋で当時87歳のドライバーが運転する乗用車が暴走し、横断歩道を自転車で渡っていた松永真菜さん(当時31歳)と長女の莉子ちゃん(当時3歳)が死亡したほか9人が重軽傷を負った。 この年の免許返納件数が過去最多となるなど高齢ドライバー問題