痛み、人間のすべてにつながる――新しい疼痛の科学を知る12章 みすず書房Amazonこの『痛み、人間のすべてにつながる』は、文字通り人間が抱える「痛み」について書かれた一冊だ。著者はオックスフォード大学医学部のリサーチ・フェロー、皮膚科医で、既訳に『皮膚、人間のすべてを語る』がある(こっちもおもしろい)。 で、著者が皮膚の次に選んだテーマが「痛み」だ。人間であれば誰であっても多少の痛みを経験しながら生きていくもので、これが人生最大の悩みである人も多いだろう。胸や腰が痛むのに、病院に行っても「全部正常ですね」としか言われず、原因のわからない継続的な痛みに苛まれる人もいる。アメリカでは鎮痛薬として用いられるオピオイドの需要は高まるばかりで中毒死者数が急増し社会問題化しているが、痛みがこれほどまでに問題なのに、あまりその本質的な原因は広く知られていない。 本質的な原因ってどういうこと? 骨折をし