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「芸術」あるいは「芸術作品」についての定義付けは、さまざまにあると思うが、ひとつの考え方として、視覚や聴覚といった知覚器官を通じて人が快い(また時には不快であるという認識も含め)と意識する、ある表現媒体や行為などを総称するもの、と定義することが可能だろう。 斉田一樹+三原聡一郎《moids∞》2018 [撮影:三原聡一郎] 私はここで、唯脳論的に話を進めようといった意図を持つものでは無い。ただ、今回ここで紹介する作品について、その作者と話を交わしているなかで、その作品を生み出すアイディアの起点としてサウンド・アートに分類されている作品があり、その作品自体は電子音から生み出されるノイズ系に分類される音を発生する装置に過ぎず、それを芸術と認識するのは周囲にいる人々、そしてそれらの人々が作り出したアート界であったと思われる、というような話をした。また、そのノイズ発生装置を作った本人にとっては、ア
前回までの2回の寄稿では、YCAMが行なう「食」をテーマにした新プロジェクト「ひと口から考える食のエコシステム StudioD」について、その背景や、狙いについて紹介してきた★1。今回は、このプロジェクトのサブタイトルである「Radlocal Practice」の意図、また現在の地域をめぐるアクティビティについての考察、そして今後の展望について紹介していきたい。 ★1──次の記事を参照「『食』をめぐるYCAMの新プロジェクト──ひと口から考えるエコシステム」(2018年06月01日号)、「ハンバーガーの『ひと口』から食のあり方を考える──YCAMの新プロジェクト『StudioD』のしくみ」(2018年10月01日号)。 Radlocal Practiceとはなにか RadlocalはYCAMが2014年と2016年に開催した人材育成プログラムである★2。地域や公共空間に対し、その課題を見つ
消滅した村落を照らす小さな光。副田一穂評 蜜ノ木「くずれる家」展三重県伊賀市島ヶ原に暮らす若者たちによるグループ「蜜ノ木」による展覧会が、この秋開催された。本展は、伊賀の美術史、1920年代の地元青年団の活動、伊賀ゆかりの現代美術作家による展示の3つを軸に構成。三重、愛知の学芸員らと協働でリサーチを行うなど、土地の持つ記憶へ独自のアプローチを行う「蜜ノ木」が実施した本展について、愛知県美術館学芸員の副田一穂が論じる。 文=副田一穂 共同体の繕い方 三重県伊賀市島ヶ原地区(旧島ヶ原村)に暮らす20代の若者たち十数名が、2013年に結成した島ヶ原村村民芸術「蜜の木」を前身とする「蜜ノ木」の活動は、展覧会やイベントの企画のみならず、空き家の再生から地域の寄合や祭礼への参加まで多岐にわたり、いわゆるアート・コレクティブというよりは、旧来の青年団のそれに近い。 蜜ノ木のメンバーはいずれも旧島ヶ原村に
福永 信(ふくなが・しん) 1972年生まれ。 著書に、『アクロバット前夜』(2001/新装版『アクロバット前夜90°』2009)、『あっぷあっぷ』(2004/共著)『コップとコッペパンとペン』(2007)、『星座から見た地球』(2010)、『一一一一一』(2011)、『こんにちは美術』(2012/編著)、『三姉妹とその友達』(2013)、『星座と文学』(2014)、『小説の家』(2016/編著)。 最新のエントリー 19.06.10 クマのプーさん展の図録がいい 19.02.10 村瀬恭子の新作展(タカ・イシイギャラリー東京) 18.11.12 関西の80年代展 18.09.06 夏のおすすめ、ゴードン・マッタ=クラーク展 18.08.24 夏のおすすめ、木田金次郎展 アーカイブ ▼2019年6月 「クマのプーさん展の図録がいい」 ▼2019年2月 「村瀬恭子の新作展(タカ・イシイギャラ
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