「新しい生活様式」にもだいぶ慣れ、日常が戻ったと感じる人もいるだろう。だが、実際はさまざまな場所や場面において、コロナの「後遺症」が残っているところは少なくない。美術館もその1つだ。 一時休館を経て再開した館でも、中止になった展覧会や、大幅に会期が延長になった展覧会が相次いでいる。一部の作品が展示できなくなった展覧会もあるなど、その影響は長引いている。それには、美術館が展示を決め、実際に作品を集めて開催するまでの「仕組み」が関係している。今回は東京と奈良にある2つの美術館に展示までのプロセスとコロナの影響を聞いた。 展覧会の開催には企画から2、3年かかる 東京駅から徒歩5分の八重洲エリアにあるアーティゾン美術館。印象派などのコレクションを誇るブリヂストン美術館を建て替え、今年1月に近現代美術館として開館した。 副館長の笠原美智子氏によると、展覧会は通常、担当する学芸員が調査・研究をし、展覧