日本ではNHKのテレビ番組「ハーバード白熱教室」で有名になったマイケル・サンデル教授は、経済学批判に熱心なコミュタリアンとして知られている。単に批判的と言うわけではなくて、経済学者の目に付く所で堂々と批判している人で、経済学の学術雑誌にも寄稿している強者だ*1。著作を読む気力は沸かないのだが、それが短い論文だったので読んでみた。 主張はそう難しくない。経済学者が使う厚生基準に問題があるので、その再考が必要だと言うものだ。経済学者は財やサービスを何でも取引可能にしたがるが、それが人々の財やサービスに対する態度を変化させ、人々が道徳的では無くなる事がある。また、道徳的な態度をとることで不効用が増していく*2と考えているが、道徳は実践する事で板につくので不効用が増すとは限らない。経済学者は、この二つを見逃している。 この主張、共同体主義について知らないと、面食らうかも知れない。古くはアリストテレ
