周回軌道に投入後、異常な回転を起こし破壊されてしまったX線天文衛星「ひとみ」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が報告書を取りまとめた。 最大かつ直接的な原因はデータ入力に関する人為的なミスなのだが、背後には、社会のIT化という、大きな問題が横たわっており、報告書もそれを半ば認める内容となっている。これは、日本におけるもの作りのあり方や、ひいては、日本企業のビジネスモデルにもつながる話であり、多くの人にとって共有すべき話題である。 機体はバラバラに破壊され、一部は地上に落下 「ひとみ(ASTRO-H)」は、世界最高の観測性能を持つ宇宙X線観測用衛星である。ひとみを運用することで、ブラックホールをはじめとする、宇宙の進化に関連する研究が進むことが期待されていた。ちなみに、ひとみの開発には約300億円の国費が投入されている。