今年5月に東京都板橋区の東武東上線で起きた脱線事故で、事故車両の台車に脱線前から亀裂が生じていたことが関係者への取材で分かった。亀裂が見過ごされたまま運行が続けられ、拡大して脱線につながった可能性がある。国の運輸安全委員会もこうした状況を把握し、経緯を調べているとみられる。 運輸安全委や東武鉄道によると、事故は中板橋駅近くで5月18日昼、成増発池袋行き上り普通電車(10両編成)の前から5両目の車軸4本のうち、後ろの2本が脱線した。直後の調査で、この2本を支える台車枠の側面に長さ15センチ、最大幅12ミリの亀裂が見つかった。 関係者によると、この亀裂の下部にさびが生じていた。亀裂ができた後、風雨などに一定期間さらされたためらしい。当初は小さかった亀裂が広がって、台車のバランスが崩れたため、脱線が起きた可能性がある。