右脚にはいまだにテーピングが巻かれているが、それを全く感じさせないプレーで攻守ともに誰よりも自らの持てるものを発揮した内田篤人。 試合終了の笛がスタジアムに響くと、ソックスをおろし、靴ひもを外した。 ピッチ中央に集まるチームメイトとは違う方向へと、内田篤人は歩いていた。そしてベンチの中央に座り、スタジアムをしっかりと見渡したあと、下を向いた。その肩が震えていたかまでは、わからない。 しかしチームスタッフに肩を抱かれ、スタンドのサポーターの元へ挨拶に向かうために立ち上がった内田は、その腕で顔をぬぐった。サポーターの前で深々と頭を下げたあとは、最後まで顔をあげられなかった。しばらくは、頭を垂れたままだった。 ADVERTISEMENT 「どうしても勝ちがないと、報われない気はする。でもまあサッカーやってきて、そういう努力というのは、報われないことのほうが多い。それが、勝負の世界かなという気がし
![露にした感情、勝負観、代表引退。内田篤人が見せたもの、語ったこと。(寺野典子)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/f16d35ca76d0d3ed8e56c6763cf5b58007964d1f/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Ffanyv88.com%3A443%2Fhttps%2Fnumber.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F7%2Fe%2F-%2Fimg_7e8268df2f5c45951d568358804f15e1296943.jpg)