面接場所に指定されたのは、東京・渋谷のスターバックスコーヒーだった。 2012年、渋谷教育学園幕張高校3年だった林由季さん(19)は米国の名門エール大に出願した。面接はアドミッション・プロセス(入学者選抜)の一環。相手は同大の卒業生だ。 現れたのは、ジャケット姿の大柄な男性。経歴と顔はインターネットでチェック済み。日本の大学教授で、日本人だが米国生まれらしい。力強い握手であいさつし、英語で語りかけてきた。「あなたの学力を試すのではなく、あなたがどういう人か知りたいんだ」 好きな本を尋ねられ、オルダス・ハックスリーのSF小説「すばらしい新世界」をあげると、教授も読んでいて、「あなたの幸せの定義って何だろう」と問われた。話題は中、高と打ち込んだテニスにも及び、厳しい上下関係や理不尽なクラブのルールを変えたことを話すと「それはいい」と喜んだ。温和でよく通る声。店の雑音も気にならず、すぐに1時間が
