イメージ写真 ノンフィクションライターの藤井誠二さんは長年、売春街「真栄原新町(沖縄県宜野湾市)」を歩き、街で生きた人たちの声を拾ってきた。新著「沖縄アンダーグラウンド」(講談社)は、沖縄県警と市民団体等による「浄化」運動で消された「近い過去」と、米軍占領に端を発してできた街の「遠い過去」を丹念に記録したルポルタージュだ。街で生き抜いた人びとを通して見えた過去の犠牲と差別の構造、現代に連なる排除の思想、しんどさの中にある人たちとどう向き合えばいいのか、藤井さんの思いを聞いた。 (聞き手・琉球新報文化部 新垣梨沙) 藤井誠二さん 不可視の存在 -真栄原新町を取材しようと思ったきっかけは。 2010年前後に『浄化』運動が始まった時に、地元紙では運動だけが粛々と進んでいるという報道しか基本的にはなく、浄化しようとする人たちの理屈がよく分からなかった。どういう人たちがどういう思いで、この街はなくし