「君は日本の記者か? ありがとう」 ワシントンで4月に開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でのこと。関連行事を取材していた国際通貨基金(IMF)本部で、ドイツの記者に声を掛けられた。 きつねにつままれていると、「日本がリードしてくれた。欧州は感謝している」と彼は笑顔を見せた。G20会合の焦点は、欧州債務危機の拡大に備えたIMFの融資能力拡充だった。日本が非ユーロ圏で先駆けて600億ドルの拠出を表明したことが突破口になり、どうにか目標の4千億ドルを超える資金が集まった。 ここしばらく、G20で日本の存在感は薄かった。日本の主張で取り上げられるのは円高是正の要求ぐらい。前にもこのコラムで書いたが、関係者は「欧州危機のさなかでピントがずれている」と首をかしげていた。 もちろんIMFの資金は万一のためで、欧州自身の努力も必要だ。それでも資金増強が先送りされていたら、市場は動揺し