Abstract lldはUnix、Windows、WebAssembly、macOSをサポートしたオープンソースのリンカです。既存のGNUリンカとコマンドライン互換でありながら数倍高速かつ省メモリで、FreeBSDやOpenBSDなどのOSの標準リンカとして採用されており、Chromeなどの大規模プログラムや、大規模なWebサイトの内部のビルドシステムなどでも使われています。またプログラムがコンパクト(数万行規模)なのも大きな特徴です。 lldは発表者の植山類が設計・実装を行いました。40年近い歴史のあるリンカと互換のプログラムを作成するには低レイヤについての深い知識が必要になります。また高速性とシンプルさを達成するためには、最初のデザインの見極めが重要になってきます。このトークでは、良いデザインと悪いデザインを見極めるポイントは何だったのか、ということについて語ります。