本書によれば、サンタクロースが日本に最初に登場したのは明治7年。裃(かみしも)を身につけ、大小の刀を腰に差し、大森かつらを頭にかぶった「殿様風」の装いだったという。その格好で一体何をしたというのか?善意かどうかはさておき、やっていること自体は忠臣蔵とほぼ同じだ。カマドから出てきてホウ!ホウ!などと言ったら怖いではないか。子供は喜ぶのか。その頃はきっと、サンタクロースなんて大変マイナーだったに違いない。いつから恋人がサンタクロースみたいなことになったのか。年上過ぎないか。そういう話ではないとでも言うのか。 本書は、冒険家の高橋大輔さんがサンタクロースの謎を追ったノンフィクションである。高橋さんは今まで「物語を旅する」というテーマで『ロビンソンクルーソー』や『浦島太郎』などの背景を世界各地に訪ねてきた。世の中に伝説がある限り、冒険は無くならない。今回は、いつの間にか日本に定着した聖夜の人物に挑