若者を憎悪している。世の風潮を眺めていると、どうもそうとしか思えない、まったく理不尽な議論が罷(まか)り通っている。 例えば、統計的な確証もなしに、少年犯罪の増加や凶悪化が社会問題化される。 また、ゲームやインターネット、携帯電話など、若者が接触しがちなサブカルチャーやメディアが槍玉(やりだま)に挙げられる。 最近は「ゲーム脳」だの「脳内汚染」だのと、まことしやかな、おどろおどろしいコピーによって社会への浸透圧が高まっているから、実に質(たち)が悪い。 ニートという言葉も、瞬く間に人口に膾炙(かいしゃ)したが、単なるキャッチ・コピーかもしれない。本書はそんな健全な懐疑へと読者を導き、さらに進んで、正しい社会認識とは何かを熟考させる。 ニートとは、一般に働かず、学ばず、職を求めてもいない若者を指す。しかし、各方面に影響を及ぼしているわりに、定義が明確ではない。一説によれば約八五万人にも達する