本報告では、OpenID を中心に、2008 年下半期のアイデンティティ管理技術に関する動向を概観する。 筆者の主観ではあるが、2008年のアイデンティティ管理技術に関する議論の多くは、直接的・間接的に関わらず、OpenIDを意識して行なわれてきたように思われる。 その背景には、OpenID の爆発的な普及がある。2007年12月に コア仕様である OpenID Authentication 2.0 が確定して以降、大量の ID 情報を保有するサイトが相次いで OpenID プロバイダ機能の提供を開始し、一方 OpenID に対応したサイト(リライング・パーティ)も、米 JanRain 社の集計によれば、2008年の1年間で約3倍の 31,000サイト以上に増加しているという[1]。 そして普及に伴い、OpenIDの利活用を進める上での仕様の改版・拡張や、実運用での工夫などに進展がみられる