ロシアがウクライナ南部のクリミア自治共和国の編入を宣言し、緊張が続くウクライナ情勢をめぐってロシアと米欧の溝が深まっている。世界の平和および安全の維持が第1の役目でもある国連安全保障理事会の場でも、双方が非難し合うばかりで、着地点は見えない。著書「『Gゼロ』後の世界」で、国際秩序を守るリーダーとなるべき国がなくなると予想した政治学者イアン・ブレマー氏(44)に、国連の政治的役割や今後の展開について聞いた。 (ニューヨーク・長田弘己) 「当事者である常任理事国のロシアが拒否権を行使できるような環境で、国連は政治的に機能できないというのは明らかだ。地政学的にも平和の面からも、国連が担える役割はない。国連は、リーダー不在の世界での調整役を務められない。であれば、安保理を改革すべきだという議論もあるが、それは意味がない。拒否権を持つ常任理事国らの役割が、混沌(こんとん)としてきたこの時代に、ますま