「最初に、自分マトリックスをやってもらってもいい?」 彼は会ってすぐにそう切り出した。 ノートを1ページ破り差し出すので、わたしはそれをわけもわからないままとりあえず受け取る。 「まんなかに自分の名前を書いて、で、そのまわりに自分の関心のあることや最近はまってることを思いつくままに書いていって。『コーヒー』とか『ギター』とか、なんでもいいよ。頭に浮かんだことを」 なんだなんだ? 戸惑っている間にも彼はもう一枚の紙にさっさと自分の名前を書いていく。 し、仕方がない…とりあえず言う通りにやってみようか…。 初めて会ったばかりだというのに、即、無言。 10分後、紙一面が文字で埋まると、私たちはお互いの紙を交換した。 「すげー書いたね、ありがとう! これ、“自分マトリックス”っていうんだ。“偏愛マップ”とかとも言うみたい。最初にそれをやってもらうと、わりとどんな人かわかるんだよ」 すげー楽しそうに