東京ヤクルトスワローズが好調だ。 こう書くと、多くのプロ野球ファンは顔をしかめることだろう。今年のヤクルトは弱いからだ。主力選手の故障が相次ぎ、前半戦は1986年以来27年ぶりにセ・リーグ最下位に沈んだ。その後も浮上の兆しが見えず、自力でのクライマックスシリーズ進出の可能性は既に消滅している。 では何が好調なのか。答は観客動員数。日本野球機構によると、前半戦終了時点のヤクルト主催試合の入場者数は、1試合平均1万8764人。前年同期と比べて7.3%の増加で、セ・リーグ平均の1.6%増を上回った。 この不思議な現象は、IT抜きには説明できない。ヤクルトは今シーズンから球団公式のチケット販売サイト「スワチケ」を稼働させ、ファンクラブ制度の「Swallows CREW」も刷新。Webサイトでの行動履歴を蓄積し、分析する仕組みを整えた。ITを駆使してファンを活性化する取り組みが、観客増として現れ始め