デザート業界の人間が「世界一」と言うコーヒーがある。自ら産地に赴き、樹の選定から焙煎、保存まで徹底して最上級かつ厳格な方式を貫く。「超一流を作ることで、コーヒー市場を守る」という信念が、生産者と消費者をつなぐ。 「世界一のコーヒーだ」――。 その日、世界的に著名なショコラティエ(チョコレート菓子の製作者)、ジャン・ポール・エヴァン氏は興奮を隠せなかった。2010年の秋、東京・西麻布の高級レストランで食事をし、食後のコーヒーを口にした時のことだ。 「このコーヒーを手がける人物に会いたい」。こう熱望したエヴァン氏が程なくして訪れたのが、高級コーヒー豆業者、ミ・カフェートだった。 エヴァン氏は通常、他社とのコラボレーション話は一切断っている。だが、この日は違った。ミ・カフェートの川島良彰社長とカカオやコーヒー豆の産地について語り合った後、「チョコレートとコーヒーのマリアージュ(結婚)をしませんか