「GDP(国内総生産)規模で中国に追い抜かれ、世界第3位に転落する」 「バブル崩壊の1990年以降、日本経済は成長が止まり、一方で世界は日本以外すべてが成長」 こうした「事実」に基づいて語られる日本経済悲観論にうんざりしているのは私ばかりではあるまい。こうした「事実」は嘘ではないが、問題はそこから抽出される含意にある。 グラスに半分のワイン…をどう見るか? よく言われるたとえだが、データが示す事実は「グラスにワインが半分入っている」と言うようなものだ。この事実から「もう半分しか残っていない」と嘆くか、「まだ半分もある」と思うか、それが人間の幸不幸感や行動選択を左右する。ところが日本ではネガティブな含意ばかりが横行しやすい。 とにかく日本人が悲観論や危機感の強調に傾斜しやすいことは、以前このコラムでも書いた(「危機感駆動型ニッポンの危機!?ネガティブなニュースの濁流に流されるな」、2008年