編集部から:本連載では、IT業界にさまざまな形で携わる魅力的な人物を1人ずつ取り上げ、本人の口から直接語られたいままでのターニングポイントを何回かに分けて紹介していく。前回までは、田中氏がさくらインターネットを上場させるまでを取り上げた。初めて読む方は、ぜひ最初から読み直してほしい。 2005年10月、東証マザーズに上場を果たしたさくらインターネットだったが、翌2006年に相次いで進出した新事業に失敗し、深刻な経営危機に陥る。2007年、同社は経営を立て直すべく、これらの事業から撤退し、もともとの本業であったデータセンター事業に専念する方針に転換する。田中氏は、当時の事情を次のように説明する。 「上場直後に進出したオンラインゲームや動画配信サービスは売り上げが厳しく、続けるのが難しかったのです。上場した時、3億円ほど資金調達をしたのですが、それも新規事業への投資で全て使い果たしていました。