出版状況クロニクル50(2012年6月1日〜6月30日) 今年もすでに半年が過ぎた。 出版危機は相変わらず深刻化する一方であるが、表面的には大きな倒産は起きていない。いわば擬似的な凪の状態に置かれているといっていい。しかしそれが嵐の前の静けさという不気味な感じにも包まれている。 そのかたわらで、危機の救済を喧伝するかのような電子書籍狂騒曲が奏でられ、報道も過熱してきている。それはバブルに他ならず、追いつめられた出版業界のヴァニティフェアのように映る。 本クロニクルでも今年は正念場ではないかと既述してきた。台風の季節も近づいてきている。後半は何が起きるのだろうか。 1.出版物販売金額の推移に関しては、主として出版科学研究所のデータを使ってきた。これは取次出荷額から書店の返品率を引いた販売額であるが、毎年の『出版年鑑』に基づく実売金額も挙げておく。こちらは『出版ニュース』(6/下)に掲載されて