99年に山口県光市で起きた母子殺害事件で死刑判決を受けた被告の元少年(28)=当時18歳、上告中=の実名が掲載された本の販売をめぐり、元少年が出版の差し止めなどを求めた仮処分申請について、広島地裁は9日、申請を却下する決定をした。 本の著者は一橋大学職員の増田美智子氏(28)で、出版元は「インシデンツ」(東京都日野市、寺沢有代表)。元少年の実名がタイトルに入れられ、本文中にも実名が度々登場する。元少年の中学校の卒業アルバムから顔写真も転載されている。 元少年は、本は少年の実名の出版物への掲載を禁じた少年法61条に反している▽増田氏らは元少年に対し、文書を発表する時は、原稿の内容などを事前に確認させると約束していたのに、守られなかった、として仮処分を申し立てていた。 インシデンツの寺沢代表によると、本はすでに初版の4千部が完売。その後、2万部が増刷され、順次全国の書店に出荷されていると