アクセス解析、マルチデバイス対応、モバイルファースト、A/Bテストなどを行うことでとりあえず満足し、自社のWebサイトはUXデザインを実践できていると考えてしまう企業は多い。しかし、それで本当にユーザーが喜ぶ体験を提供できていると言えるだろうか、“UX王子”こと千葉工業大学の安藤氏が、自らの行った人間中心設計やUXの研究をもとに、真にユーザーの体験を考えたサービス設計について解説する。 人間中心設計とKPI中心設計の違い Web担当者Forumミーティング 2014 秋の最後の基調講演に登壇した千葉工業大学 工学部デザイン科学科 准教授の安藤昌也氏は「御社のWebサイトにUXは必要? UXってウチのサイトに関係あるの? ~UX王子の語るUX論」と題して、今の世の中で主流なKPI中心のサービス設計ではなく、真にユーザーを考えたUXデザインを行っていくために必要な視点について講演した。 安藤氏
オウンドメディアの価値を向上するうえでは、「ユーザーにとって有益な情報や機能が提供されているか?」というユーザー視点が大切になります。受け取ってくれる人がいてこそ価値が生まれるのは、オウンドメディアにおいても同様です。つまり、ユーザーを中心としたUXを向上するアプローチが重要になります。そして前編で改めて整理したように、UXはとても幅広い概念であり、製品やサービスとユーザーの間に接点を生むチャネルやタッチポイントのすべてが関わります。オウンドメディアはその部分を構成するチャネルになります。 後編では上記を踏まえたうえで、オウンドメディアの価値を向上するUXのアプローチ例を紹介するために、Web技術を用いたオウンドメディアに対象をあえて絞ります。またその前提として、オウンドメディアやWeb戦略の視点と考え方を整理しながら、具体的な話をすすめていきます。 オウンドメディアを含む3つのメディアオ
「ユーザエクスペリエンス(UX)」のデザインや、その手段としての「人間中心設計(HCD)」という単語を、このところよく見かけるようになりました。 その多くは、「ユーザーを正しく理解しよう」というものです。それ自体はすばらしいことで、価値があることに疑いはありません。 でも、UXの対象者は、実はエンドユーザーだけではないと言うと、あなたは驚くでしょうか。 というのも、UXを大きな視点で見ると、サービスや製品がエンドユーザーに届くまでのあいだに、そこにたずさわる、すべての人が、その対象であると考えられるのです。 その1つに、自社の「チームのUX」のデザインという考え方があります。 「チームの信頼感を生むための、組織のUXデザイン」について、ワークショップ設計の専門家でもある、株式会社Gaji-Labo(ガジラボ)の山岸ひとみさん(HCD-Net認定 人間中心設計専門家)に伺いました。 社員やパ
UXって使いやすさのことですよね? UXとUI、どちらも似たようなものでしょう? 「UX(ユーザーエクスペリエンス)」という言葉を耳にする機会が多くなっています。しかし、UXについてきちんと説明できる人は少ないのではないでしょうか。UXという概念は決して新しいものではなく、十数年前からありました。ところが米Apple社が製品を核にしたユーザー経験を重視するサービスで成功したことや、ユーザーの利用環境の変化によって、ここ3~4年の間で急に着目されるようになりました。 一方、UXという言葉が多方面で多義的に使われ始めたことで、より複雑な印象を与えているように感じられます。概念の混乱と不一致によるコミュニケーションロスは不要なストレスを引き起こし、コスト増につながりかねません。「UX」に関係するすべての人の概念が、できるだけ一致していることが望ましいといえます。 そこで本連載の前編では、入門編と
今日は、飲食店のホームページはどうあるべきかについて。お店の雰囲気に合ったステキなデザインのホームページも良いのですが、サイトを訪れる人が求めている地図や営業時間といった情報を探しにくいサイトは、UX的に問題ありだと思うんですよ。 ようやく週末に余裕ができたので、ちょっと前に話題になっていた飲食店を訪れました。ところが、お店のことを調べようとホームページをチェックしたところ、こんな風なストレスを感じました。 ナビゲーションが全部英語で「ABOUT」とか「MENU」とか書かれていて、そのリンクをクリックした先で得られるものが、一瞬ではピンとこない。 地図や住所がどこに書かれているのかわからない。探してみたところ、ナビゲーション内の「SHOP DATA」をクリックした先にあった(でもなぜかサイトフッターのリンクは「店舗情報」となっている)。 店への行き方を調べるためにGoogleマップを使おう
今日は、英国政府のWebサイトなどを担当する「政府デジタルサービス(GDS)」の部署が公開している「デザイン原則の10か条」について。「良いデジタルサービスを作り、運営していく」ためのポイントがコンパクトにまとめられています。 英国政府(gov.uk)のサイトには、「デザイン原則(Design Principles)」というページがあり、そこには、次のようなことが書かれています。 まずニーズからはじめる ―― 自分たちのニーズではなく、ユーザーニーズから。本当のユーザーを理解し、そのニーズを知る。想像や思い込みではなく、ちゃんとデータで。 なんでもかんでも手を広げず、するべきことだけをする ―― 政府がしなければいけないことだけをし、他の人がすでにやっていたら協力する。 データをもってデザインする ―― 試作し、実際のサイトで実際のユーザーにA/Bテストを行い、その結果をデザインに活かすや
UX(ユーザー体験)のタッチポイントを良くすることを考えるだけでなく、戦略、ビジョンに落とし込んで活用する方がいい(山崎氏)。 山崎氏がユーザーエクスペリエンスに触れたきっかけは、IBM時代のパソコンだった。製品についてさまざまな調査をした結果、「使いやすい」「プロダクトもいい」と評判が良かった。しかし、売れない。競合製品の方が売れていく。 IBMの製品自体は良く、お客さまからの評判も良いのに、なぜ売れないのか。「売れない理由をユーザー体験で考えてみよう」ということで、ユーザー体験を「購入前の検討段階」「購入する」「購入後に使う」「使った後のサービス」というユーザーと商品の関わり合いを時間軸で捉え、「どこの接点で何が違うのか」「ユーザーの満足度がどのように違うのか」を競合と比較した。 比較した結果、「製品は良いものだが買いにくい」「買った後のサービスがお客さまにとって満足いくものではなかっ
ECサイトでは「アクセス数×注文率×客単価×リピート率」という掛け算が売り上げになります。勝ち組の特徴は、この計算式の中で、アクセス数以外に着目していることです。なぜなら、アクセス数を向上させるには一般的にバナー広告やリスティング広告など露出にお金をかけることが必要であるため、売り上げが伸びても利益率が上がらないからです(布田氏) 布田氏がアクセス数よりも大事だとするのが注文率、すなわちコンバージョン率だ。布田氏が見てきたECサイトのコンバージョンを平均すると1%前後だという。これを2%にするだけで、売り上げは倍になる計算だ。 もちろん、それは簡単なことではない。アクセス数はある程度のコストを掛ければ、すぐにでも目に見える成果を出すことができる。だが、コンバージョンは、地道な改善の繰り返しでしか達成できないからだ。そして、それを徹底追求しているECサイトこそが勝ち組なのだという。 「ユーザ
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。今回は、前編に引き続きSEOの妨げとなる5つの思い込みのうち、残る3つを見ていこう。 ユーザーエクスペリエンス(UX)とSEOは、調和しながら共存できるようになっている。にもかかわらず、その2つのトピックに関して、多くの人々が思い込んでいる都市伝説のような勘違いがいくつかある。 こうした思い込みを払拭したうえで、サイトのSEOだけでなくUX向上にも役立つように、管理しているWebサイトや取り組んでいるプロジェクトに専念できるようなヒントを5つ挙げている記事の後半をお届けする。 「この図で示した右のような、テキストだけのページは絶対よくない」というのは本当だろうか? 右のほうのページには、テキストと空白だけ、まあ箇条書きの先頭に打つ黒丸(・)くらいはあるだろうが、画像もグラフィックスも、視覚に訴える要素は何もない。 それよりも左に示したページの
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