中岡哲郎「近代技術の日本的展開 蘭癖大名から豊田喜一郎まで (朝日選書)」に日本近代技術史から見た西南戦争について端的にまとめられていて面白かったので、簡単に紹介しておきたい。同書については同じく中岡哲郎「日本近代技術の形成―“伝統”と“近代”のダイナミクス (朝日選書)」、石井寛治「日本の産業革命――日清・日露戦争から考える (講談社学術文庫)」とともに日本近代の持続的経済成長(いわゆる「日本の産業革命」あるいは「後発工業化」と呼ばれる)の過程についてなんらかまとめたいと思っているので後日がっつり紹介するつもり。戊辰戦争が終わり、明治新政府は富国強兵のスローガンの下、士族の解体から徴兵制の施行に至る国民軍の形成過程を突き進むことになるが、同時に各地に兵器工場の開設が計画された。明治三年(1870)に開設された大阪砲兵工廠もその一つで、後に東京砲兵工廠と並ぶ二大砲兵工廠へ発展していく。さて