私たちの国は曲がりなりにも70年間、主体的には戦争をして来ませんでした。曲がりなりにも――。私たちの国の憲法のたたえている「平和主義」の外に置かれ続けている沖縄の現状を直視すれば、「護憲」を唱えているだけではなく、むしろその実現へ向けてたゆまぬ努力を必要とされていることは理解しています。それでも、すべての戦争は「自衛」の名の下に始められるのだという冷静で大変リアルな認識から、どのような戦争も政治の延長ではなく、政治の放棄であると考えた結果、少なくとも私たちの軍隊が他国で人を殺してはこなかったという重い事実。その70年間の積み重ねによって築いてきた信頼は、恐らく敬意を表するに足る歴史だったと思います。 先の戦争で(この言い方がいつまでも通用して欲しいですが)私の父は3年近くシベリアに抑留され、母は東京大空襲を経験しました。ふたりとも口をそろえて「戦争はもうこりごりだ」と言っていました。その「