約2時間半で1億5300万ドル(約170億円)を調達――。イスラエルのスタートアップ企業であるBancor(バンコー)は2017年6月にICO(Initial Coin Offering)に踏み切り、巨額の資金を集めたことで世界の注目をさらった。「Bancor」と言えば、著名な経済学者であるケインズがブレトンウッズ会議で提案した世界通貨の名。同社はそれを、現代に蘇らせようとしている。目指すのは、あらゆる人々が簡単に通貨を生み出し、それが仲介人の手を借りずに流通する世界だ。 ICOを巡っては中国や韓国が全面禁止に乗り出すなど、規制が強まっている。バンコーの共同創業者であるガイ・ベナッティ氏は、規制当局の取り組みに理解を示しつつも、「技術の進歩にたちはだかることは許されない」と断言する。 「double coincidence of wants(“欲望の二重の一致”)」――。経済学の世界でよく