山々に囲まれた天竜川沿いの大峡谷を縫うように列車がゆっくりと駆ける。かつては三遠南信地域(愛知県東三河、静岡県遠州、長野県南部)の物流を担い、今では通勤・通学や観光の足として活躍するJR飯田線。人里離れた場所にひっそりとたたずむ「秘境駅」が多く存在する路線としても知られ、そんな秘境の無人駅をめぐる観光列車も人気を博している。 「秘境駅ランキング」に10駅がランクイン 長野県辰野町から愛知県豊橋市を結ぶ195キロ、94駅。普通列車で片道約6時間30分。飯田―豊橋間の特急「伊那路」は約2時間30分。私鉄4社が戦前に各区間で運行を始め、1943年の国有化で「飯田線」となった。87年の国鉄分割民営化に伴ってJR東海が継承し現在に至る。 「秘境駅」の名付け親とされる鉄道愛好家の牛山隆信さんがネット上で公開している「秘境駅ランキング(2023年度版)」には飯田線から10駅がランクイン。1位はJR室蘭線