華やかで明るい未来を演出する万博だが、歴史的には列強が植民地支配に猛進した帝国主義に根をもつ。さまざまな地域の先住民族を生きたまま「展示」して「見せ物」にした「ヒューマンズー(人間動物園)」は人類の負の歴史だ。120年前の大阪でも「学術人類館」事件と呼ばれる問題が起き、2025年大阪・関西万博も懸念すべき動きが出ている。差別思想を源流にする万博を継承する必要があるのか。脈々と続く問題を考えた。(木原育子)
川村カネト 明治26年5月~昭和52年1月6日 旭川永山町(現旭川市永山)キンクシベツに生まれる。 父は上川アイヌの長、7代目イタキシロマ。 母はアベナンカ。 北海道教育大学旭川分校の向かい側に「川村カ子トアイヌ記念館」があります。 上川アイヌの村長を務める名門の家柄で、現在館には9代目になる川村兼一氏が住んでいます。 近年アイヌ民族に光があたり、兼一氏が祖父を語る機会が増えています。 記念館は大正5年に、カ子トが私財を投じて開設したもので102年間維持してきたのは奇跡といえるでしょう。 阿寒・白老・平取などアイヌ民族の資料館がありますが、私が訪れた中ではアイヌの本物に触れる思いがしました。金田一京助と知里幸恵が出会い、アイヌの「木彫りの熊」が誕生した場所でもあります。 生い立ち 明治26年、永山で第七代目村長の長男として生まれます。 翌年に、道庁は近文にアイヌの付与予定地を確保し住み慣れ
この7月12日、北海道白老町・ポロト湖畔にウポポイ(おおぜいで歌うこと、を意味するアイヌ語を冠した、国立アイヌ民族博物館・国立民族共生公園・慰霊施設からなる、アイヌ文化の復興・発展のための「民族共生象徴空間」)が開園しました。また、この動きにあわせるように、昨年から今年にかけては「アイヌの美しき手仕事」展が北海道・宮城・東京を巡回しています。 このところ、東京での本展開催のために発行する冊子の編集作業に携わっていたのですが、校正作業のさなかに、原稿を頼んでいたアイヌ民族文化財団の方から要望を受けました。「アイヌ」という言葉を文章に用いる際、行をまたいで「アイヌ」の言葉があるならば、「アイ/ヌ」であれば問題はないが、「ア/イヌ」との表記にならないようにしてもらえないだろうか、と。曰く、アイヌの人々がこれまで受けてきた差別の歴史において、「アイヌ」を「あ、犬」と侮蔑的に用いた事例があり、今なお
──本当にあれでいいんだろうか? 帰路、雨の道央道をレンタカーでひた走りながら、そんな思いが消えなかった。この日、私が行ったのは、今年7月12日に開業したばかりのウポポイ(民族共生象徴空間)である。 ウポポイとはアイヌ語で「(大勢で)歌うこと」を意味する。北海道白老町のポロト湖畔に新設された国立アイヌ民族博物館を核とする「アイヌ文化の復興・発展の拠点」だ。 盛大にオープンした北海道の“目玉施設” 盛んにテレビCMが流れているので、名前くらいは聞いたことがある人も多いだろう。新型コロナ流行の影響で、4月のオープンが7月にズレ込んだものの、今年の北海道にとっては最大の話題のひとつである。 私は中華圏が専門のライターであり、アイヌの知識は通り一遍の範囲にとどまる。ただ、仕事柄、ウイグルやチベットといった中国の少数民族問題に直面することは多い。学生時代の専門分野の関係もあって、先住民や少数民族への
ファッション雑誌『ヴォーグ』(USA版)3月号に載ったアメリカの白人スーパーモデル、カーリー・クロスの芸者風ファッションが大炎上し、カーリーが謝罪する騒ぎとなった。この件は日本でもいち早く取り上げられ、各記事に「人種差別」「日本をバカにしている?」などといった見出しが踊ったが、多くはアメリカの人種と文化の歴史と現状を説明し切れていなかった。そのせいか日本人読者からは「何がいけないのか分からない」の声が上がっている。 問題となった写真は、日本の伊勢志摩で撮影されたもので、本来は金髪のカーリーが黒髪のゲイシャ風ウィッグと着物風デザインのドレスを着ているというものだ。一流雑誌だけあって写真自体の質は高い。しかし近年のアメリカ文化シーンは”cultural appropriation”(文化の盗用)に厳しく、今回の写真は多くのアメリカ人の眉をひそめさせることになった。 “文化の盗用”とは端的には、
芸者のような格好で米VOGUEに登場したモデルのカーリー・クロスが、Twitterで批判を浴び、謝罪した。今回の一件は、「芸者」から欧米人が連想する従順なアジア女性のステレオタイプを、米VOGUEという世界的ファッション誌が編集に利用したため起きたことで、そこには一人のモデルのレベルを超えた、ファッション業界の根深い問題がある。 白人モデルのカーリーは「神隠し」と題された6ページにわたる写真特集に、芸者風のスタイリングで登場。力士の隣に立ったり、手水場で手を洗ったりしている。 カーリーの写真を強く非難する人たちは、ハリウッドを賑わせる白人化(whitewashing)の現象を引き合いに出す。「Aloha」「ゴースト・イン・ザ・シェル」「ドクター・ストレンジ」などの映画で、エマ・ストーン、スカーレット・ヨハンソン、ティルダ・スウィンドンら白人女優がアジア人の役を演じているのがその例だ。Twi
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