「僕はジャンプが苦手でした」と羽生結弦は言う。2009年2月の世界ジュニア選手権はトリプルアクセル(3回転半)ジャンプに失敗して12位。「同期(のライバル同士)で、トリプルジャンプをきれいに跳べるようになるのは僕が一番遅かった。大会で負けては泣いた」 羽生の中学時代にジャンプのコーチを務めた田中総司さんも、「そのころ、一番の弱点がトリプルアクセルだった」と話す。成功率が低いため、田中さんが試合で跳ぶのを禁じたこともある。 踏み切る直前の左足が、右へ行ったり、左へ行ったり、安定しなかった。上手に着氷する日があったかと思うと、翌日は全く駄目になることもあった。