敵対的買収が流行ったときに「会社は誰のものか」という議論が盛り上がりました。会社法によれば、会社は株主に所有されているので、それが「良い会社買収」か「悪い会社買収」かは株主が決めればいい、ということになります。経営陣がいくら反対して、敵対的買収はけしからんと言っても、そんなのどうでもいいわけです。 一方で、会社はステークホルダーのもの、という考えもあります。株主以外にも従業員・債権者・取引先といったいろんな利害関係者が絡んでいるので、この利害関係者がおおむね納得するのが「良い会社買収」だろう、というわけです。しかし、従業員に甘い非効率な経営をして企業価値が下がり、株価も低迷している会社が買収のターゲットになるわけで、従業員にやさしい買収が良い買収になるかは微妙なところです。 とはいえ従業員を切り捨ててコストを削減し、短期的な企業価値を上げるような買収も、経済全体から見たら非効率です。従業員