2011/6/2120:19 予測可能性と統治の正統性 大屋雄裕 「廊下を走るな」という校則は、多くの学校にあっただろう。では「廊下を飛ぶな」という規則は、どうだろうか。「石を触って金に変えるな」というルールはあるだろうか。 ■ルールがつくられる意味 「十七条憲法が『和をもって貴しとなせ』とはじまるように、日本の文化は争いを嫌い、和を尊重します」という類の説明が、時折なされる。だが本当にわれわれ日本人が古来「和」を好んできたのなら、なぜ聖徳太子はわざわざそれを尊重せよなどというお説教をしなくてはならなかったのだろうか。そもそもそのすぐ後に「人みな党あり、また達(さと)れるもの少なし。是をもって、あるいは君父に順(したが)わず、また隣里(りんり)に違(たが)う」とあるように、現実にはみんな君主にも父親にも従わないし、周囲の人びととも争いを起こしているという認識が、十七条憲法自体にある。 ■喧