アジア情報室では、資料収集が困難な地域の蔵書構築の参考とするため、定期的に外部有識者の意見を聴取している。平成27年3月5日、帯谷知可 京都大学地域研究統合情報センター准教授をお招きし、中央アジア地域で刊行された資料を収集する際の留意点をお話しいただいた。本稿はその概要である。(関西館アジア情報課) 1. 中央アジア及びウズベキスタンの概要 1.1. 地理的範囲・文化的背景 現在、中央アジア諸国というと、一般的にはウズベキスタン、カザフスタン、キルギス[1]、トルクメニスタン、タジキスタンの旧ソ連中央アジア5か国を指すことが多い。歴史的な呼称としての中央アジアの範囲はこれに留まらず、例えば中国の新疆ウイグル自治区は、中国領中央アジアと呼ばれることがある。旧ソ連領中央アジアを西トルキスタン、中国領中央アジアを東トルキスタンとも言う。さらにその外側に、現在の国境を越えて、共通の歴史的・文化的要