ジェイムズ・ヒルトンの『心の旅路』という小説をずいぶん昔に読んだ。同題の有名な映画の原作だ。私の子供の頃の新聞や雑誌では、「記憶喪失」の話題にからめて「心の旅路」という言葉が代名詞のように使われていたほどだ。映画自体は見たことがなく、予備知識なしで小説を読んだのだが、一番最後の頁を読んで雷に打たれたようになった。 「なにィィイ?!」 ちなみに映画『心の旅路』も後に見たが、映画は原作を根本的に組み替えていて全く話の構造が違うので、中盤でこの仕掛けがわかってしまう。原作を読まれる方は、事前に絶対に映画を見ないことをおすすめする。 『パシフィック・リム』という映画をどう受け止めたか。一言で言うなら、『心の旅路』で受けた衝撃にとても似ている感じがした。ただそれは、ラストに仕掛けがあるという意味ではない。『パシフィック・リム』初見から、「なにィィイ?!」に至るまでは2週間ほどもかかった。我ながら鈍感