カワイイ女の子と目が合ったら、「俺に気があるのかしらん…ヤベ、妻も子もいるのにどうしよう、とりあえず新しいパンツ買おう」と妄想と股間をたくましくするのは普通だよね?あるいは、大金持ちになったらローションのプールに裸の女を敷き詰めて飛び込みたいといった願望を抱くのも、そんなに常軌を逸していない…と思いたい。そういう、ささやかな変態趣味を打ち砕く話だ。 時代は1940年前後、舞台はパリからプロイセンの森まで。主人公ティフォージュは、パリではまっとうな変態だった。小さな子どもを眺めたり担いだりするのが大好きで、自分で暗室をこしらえては盗撮した写真を現像するくらい。学校帰りの子どもがわーっと駆け抜ける路地に突っ立って、若い肉体の奔流を遡行する鮭のようにもみくちゃにされるシーンでは、「翼ある幸福」と名づけており、微笑ましい限りだ。 しかし、少女暴行の嫌疑をかけられ拘留されるところから、彼の人生は狂い
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