<5月初旬に訪英した岸田首相は、ロンドンの金融街で「貯蓄から投資」への移行を約束した。自民党総裁選で強調した「成長と分配の好循環」はどこへ行ったのか> 5月5日、岸田首相は外遊先のロンドンで、自身が訴える政治方針である「新しい資本主義」について、貯蓄から投資への移行を促すことだと述べ、日本の個人金融資産2000兆円を利用し、「資産所得倍増を実現する」と表明した。しかしこの説明は、昨年の総裁選で訴えていた「成長と分配の好循環」という説明と大きく矛盾している。 菅前政権は、社会政策について、「公助」「共助」「自助」のうち「自助」を重視していた。2019年には、老後資金として一人当たり2000万の貯蓄が必要だと国が考えていることが明らかになっている。。これに対して岸田首相は総裁選で分配の重要性を訴え、金融所得課税の強化にすら言及していた。 筆者は昨年10月の記事で、岸田政権は結局「古い自民党」に
