著者:東 浩紀出版社:中央公論新社装丁:新書(288ページ)発売日:2020-12-08 ISBN-10:4121507096 ISBN-13:978-4121507099 「誤配」から生まれる批評的観客一応はビジネス戦記に分類されるのだろうが、本質は哲学書という不思議に面白い本である。 デビュー作でサントリー学芸賞、初の長編小説で三島賞を受賞し、アカデミズムにも地歩を固めて「人生上り調子で、 収入も増えて」いた著者は、なぜかそうしたメインストリームに「強い居心地の悪さ」を感じて、SNSを活用した出版企業を同志たちと起業、メインストリームに代わるオルタナティブ出版社「ゲンロン」を立ち上げる。2010年のことである。「ゲンロン」から出した思想誌『思想地図β』は三万部を売り上げ、順風満帆に見えたが、経理担当者の使い込みという試練に出会う。これで甘さを反省して経営者として目覚めたかというと、そう