秋葉原連続殺傷事件から一月余。八日付朝日新聞に社会学者、宮台真司が事件を振り返ってアッパレなコメントを寄せていた。宮台は言う。《メディアは単純な思考や情報を発信する。勝ち組と負け組の二分法もそうだ。「そんな誤ったメッセージを真に受けてしまうのは、なぜか」「一人でメディアに接触するときは情報に『直撃』されやすい」。身近に、お前はそんな話を真に受けているのかと言ってくれる人がいれば誤解は減る》 全く同感だ。 東京の渋谷や原宿で「援助交際」が話題になり始めた時、それを面白おかしく煽(あお)るかのように取り上げるメディアに毎回登場する社会学者がいた。その社会学者はきっと援交ギャルの一人と結婚でもするのだろうと思っていたのだが、彼が結婚したのは名門女子大卒の若く美しいお嬢様。しかも今時珍しい“箱入り娘”だった−とは、三浦展(あつし)の書くところだ。その社会学者は、名門の私立中高一貫校から東大に進学し
某全国紙に掲載されるはずだった秋葉原通り魔事件のコメントが、地震で「とび」ましたので、かわりにこちらに掲載します。 **************************************************************** 社会学者の宮台真司・首都文学東京教授(49) は携帯サイトの書き込み内容からこう分析する。 『現実でも一人。ネットでも一人』『みんな俺を避けている』などの書き込みから見ると、加藤容疑者は社会に居場所が見つけられない不満を強く感じている。背景には若者文化の変質があろう。 かつては人づきあいが苦手な若者たちの『もう一つの居場所』が若者文化の中にあり、秋葉原もその象徴だった。今はオタク文化もネット文化もまったり戲れる場所。被害者の一部がそうだったように秋葉原も今は友達と連れ立っていく所だ。友達がいない者には秋葉原でさえ居場所にならない。 他方『県内トップ
「物理空間の統治者は電脳空間の統治者であるべきか」という前回のエントリーは、去年冬のコミケのために境さんや山口さんと一緒に書いた本の原稿で、電脳コイルを二次創作したものだ。京都の町の中で、巨大な拡張現実博物エリアをwikipediaのようなオープンコンテンツコミュニティとして展開しているKazへのインタビューの形をとっている。 このような勝手AR空間をつくる活動が政府の政策により排除されようとしているという設定で、それにどう対抗しようとしているか、そもそも複数の拡張現実が許容されたりされなかったりする理論背景にはどのようなものがあるのかが、インタビューを通して紹介されている。 アニメの電脳コイルでは、このインタビューでおきているような勝手チャンネルという設定はなく、「子供の電脳めがねをかけている世界」と「大人の電脳めがねをかけていない世界」の2つしか存在しない。磯監督にも確認したが、ただで
一ヶ月ぶりの更新ですが、いくつかご報告を。最近かなりばたばたしておりまして、こちらでご報告できずじまいでしたが、先日、CNETにインタビュー記事が載りました(4/28)。 ニコニコ動画とAR(現実拡張)技術が可能にする「ニコニコ現実」という未来:コラム - CNET Japan:http://japan.cnet.com/column/pers/story/0,2000055923,20370895,00.htm 聖地巡礼 実はこのインタビュー、もとは去年の冬に受けたものなのですが、その後公開時期がずれたこともあり、今年3月にあったOGCの後日談的エピソード(AR+ニコニコ動画≒ニコニコ現実?という着想)を加筆した内容になっています(3ページ目)。 ちなみに、実際に僕が白川郷に行ったのは去年の9月で、バイクで実に9時間もかかったのですが(結局日帰りできずマンガ喫茶で宿泊した)、いやそれはも
もうひとつ近況報告です。ロンドン大学の Goldsmiths Media Research Programme の研究グループが、「ニコニコ動画」に関する研究を行うためにイギリスから来日されているのですが、先日、インタビューを受けました。そのレポートが以下にアップされています。 Tag-Wars A conversation with Hamano-san - Metagold A Research Blog about Nico Nico Douga http://d.hatena.ne.jp/metagold/20080513/1210652036 このグループは、基本的にカルチュラル・スタディーズやメディア論の観点から、「情報社会における新しいメタデータのあり方」をテーマに、日本のニコニコ動画をケースに取り上げているとのことでした。メインのインタビュアーはGoetz Bachmann
国際大学GLOCOMを中心として、「仮想世界の統治および制度の可能性に関する研究会」というのを主宰していて、そこで去年の4月から仮想世界について月1のペースで研究会を開いている。今のところ、表にでているものとしては、昨年の夏に宮台真司さんをよんで講演をしてもらったくらいであるが、そろそろ内部で議論もできつつあり、本格的に始動しようかというところだ。 去年1年の仮想世界研究の話題といえば、セカンドライフではじまり、電脳コイルで終わったといっていいだろう。そこで、この流れを総括し、いくつかのエントリーをシリーズで書いていこうと思う。 セカンドライフは、仮想世界という言葉を日本で一気に広めることに貢献した。そのセカンドライフの開発会社であるLinden Labの創設者達が参照していた1冊の本がある。1992年にニール・スティーブンソンが書いたSF「スノウ・クラッシュ」である。この本は、サーバーパ
第24-3回【同期性考察編(7)】現代のメディア環境は、同期と非同期の「二層構造」である 2007年12月28日 ITメディア コメント: トラックバック (1) (これまでの濱野智史の情報環境研究ノート」はこちら) ■24-3:現代のメディア環境を、同期と非同期の「二層構造」モデルで捉える そこで筆者がモデルとして採用したいのは、上でも触れたインターネットの「レイヤー構造」――「通信層」と「アプリケーション層」の分離――を現代社会論に拡張した試みとして捉えることもできる、東浩紀氏の「二層構造」という概念です(*3)。これまでの考察を、「二層構造」モデルに沿って整理しなおせば、それは次のようになります: ・従来の近代社会≒マスメディア環境は、テレビをはじめとする同期型メディアが社会を広範に覆うことによって、巨大な「(想像の)共同体」を実現してきた一方で、その圏内では、主に書籍等の非同期型メ
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