岸田文雄首相(67)が、9月に予定される自民党総裁選に出馬しないことを表明した。自民党派閥の政治資金規正法違反事件などによる内閣支持率の低迷や、党内からの批判を考慮した判断とみられる。政権発足から約3年で退陣することになる。改めて考えてみたい。岸田政権とは一体、何だったのか。 首相になることだけが目的 岸田文雄首相を端的に評すれば、首相になることだけが目的で、首相になってやりたいことのなかった政治家だろう。保守本流のリベラルな派閥、宏池会出身で30年ぶりの首相として期待されたが、中身は空っぽだった。 功績を探そうとしても、森喜朗政権以来約20年続いた「清和会の時代」を終わらせたことくらいしか浮かばない。これすら、結果としてそうなっただけだ。 岸田氏の首相就任前の2019年、私は「自民党 価値とリスクのマトリクス」という本で、首相候補とされる政治家の発言や著書を分析した。自己責任重視か再配分
