「自分の病気がわかったとき、どう思いましたか?」——こんな質問に、Mさんは、ハキハキと「初発(しょはつ)のときは……」と説明を始めた。 「再発」と対になる、がんの最初の発生を意味する「初発」。筆者はMさんの話を聞きながら「“初発”なんて、難しい言葉を知っているんだな」と、のん気なことを考えていた。 そんなことは当たり前だ。ここは国立成育医療研究センター、日本で最大規模の小児医療などの専門病院で、Mさんは白血病の治療中だ。病気が発覚したとき、彼女は13歳だった。それ以来、彼女はこの病気とずっと付き合っているのだから。 「当時、私は白血病という病気を知らなかったんです。だから、先生(医師)に“あなたは白血病です”と言われても、“そうなんだ”くらいにしか感じませんでした」 Mさんは中学時代、陸上部だったという。走るのが大好きで、長距離の選手になった。ある時から、タイムがどんどん落ちてきた。その年
