常識にとらわれない発想で結果を出してほしい――。上司にこう言われた経験はないだろうか。常識を打ち破るのはそう簡単な話ではない。時間にも、お金にも、能力にも制約がある。ところが、高校ラグビー界に、数々の制約をものともせずに、というよりも、逆にその制約があるからこそ、常識をひっくり返すような逆転の発想で、大躍進を果たした指導者がいる。弱小だったラグビー部を3年で花園に出場させ、昨年は初の1勝を上げた、静岡聖光学院中学校・高等学校の星野明宏常務理事・副校長だ。「制約こそがイノベーションを生み出す」とも言えそうな、その考え方や目の付け所は、ビジネスにも大いに役立ちそうだ。 (聞き手は宮澤 徹) 弱小だった高校ラグビー部を育て上げ、花園出場、そして昨年は花園での初勝利を手にしました。強豪校に比べると練習環境の制約も多いそうですが、どう乗り越えてきたのですか。 星野 明宏 1973年生まれ。桐蔭学園高