登場人物が言葉遊びを繰り広げる、非常に短い噺。この言葉遊びは、寄席の大喜利における古典的な出題としても知られる。 同様の言葉遊びは上方落語の初代露の五郎兵衛が1707年(宝永4年)に出版した笑話本『露休置土産』の「はやる物は山号寺号」や、『甲子夜話』にみられる。 ある商家の若旦那が、なじみの幇間・一八と出会う。一八が「どこへ行くんですか」とたずねると、若旦那は「浅草の観音様だ」と答える。「ああ、金龍山浅草寺ですか」「俺が行くのは浅草だよ」「ですから、あそこは本当は金龍山浅草寺というんです。お寺には『なになに山なになに寺』という正しい呼び名があり、この山号と寺号を合わせた『山号寺号』というのが、どこにでもあります」 それを聞いた若旦那は「どんなところにも山号寺号があるんだな」と念を押して、「この場にもあるか。もしあったら金をたんとやる」と一八に迫る。 一八は頓智をきかせ、「あそこでおばさんが