淡路島に来た人が戸惑うことの1つが地名の読み方だ。倭文(しとおり)、安乎(あいが)、炬口(たけのくち)、榎列(えなみ)…。これらをスラスラと読める島外の人は少ないだろう。なぜ、島内には難読地名が多いのか。淡路の地名に関する著作もある淡路地方史研究会の武田信一会長の講演を聞き、地名のナゾを尋ねてみた。 武田会長によると、地名の由来は地形(丸山、大川)や田畑(広田、奥畑)、交通(湊、泊)、信仰(一宮、八幡)、生産や行政(塩田、国衙)など土地の歴史や自然環境、人々の生活を伝えている。 では淡路に難読地名が多いのは理由があるのだろうか。平安時代に編纂(へんさん)された「和名抄(わみょうしょう)」には当時の「国、郡、郷」の名称が記載されている。淡路国には津名郡に「津名、志筑、賀茂、平安(あえか)(安乎)、物部、広田、都志、育波、来馬(久留麻)、郡家」の10郷、三原郡には「倭文、幡多、養宜(やぎ)、榎