少子高齢化が進む地域で今、何百年と受け継がれた祭りが消えている。先人が守り続けた様式を曲げてまで存続させるべきなのか…住民たちは重い選択を迫られている。 被災地に力を与えた郷土の祭り 近年に相次ぐ災害は、日本の歴史が災厄との戦いでもあったと思い出させる。古来、地震や洪水、はやり病などが襲い来るたび、人々は神仏に祈りをささげて乗り越えて来たのだ。 石川県・能登半島の夏は、「キリコ」という15メートルもの高灯籠を担ぐ厄払いの祭りが欠かせない。正月の大震災の爪痕が残る2024年夏、自粛を促す声も上がる中で「こんな時だからこそ復興を願って」と、キリコ祭りを継承する約300地域の半数が敢行した。 復旧が遅れる七尾市・能登島で2024年7月27日に開催した「向田(こうだ)の火祭」。最も勇壮なキリコ祭りだ 2011年3月11日の東日本大震災では、全国で祭りはおろか歓送迎会まで自粛するほどだった。そんな風