アディダスのスニーカー、ライカのカメラ、ダイムラーのベンツ――ぼくらは普段、多くのドイツ製工業製品に囲まれ、暮している。ベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツが統一されてから今年で20年を迎える。東ドイツというと、浦沢直樹『MONSTER』(小学館)や、第79回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画『善き人のためのソナタ』など、陰々鬱々としたマッドな共産主義国家、といったイメージが強いが、実際のところどうだったのだろう? この『ニセドイツ1 ≒東ドイツ製工業品』『ニセドイツ2 ≒東ドイツ製生活用品』は、ベルリン在住のドイツ文化研究者でありフリーライターの伸井太一(のびい・たいち)氏が、旧・東ドイツのヘンテコな工業製品・生活用品についてまとめた本だ。商品から文化、政治的背景まで詳細に記され、いたるところダジャレが満載、ユーモアたっぷりの内容だ。ドイツ国旗を模した黄色と赤の表紙には、東ドイツ製自動車