「まあ実際のところ、ICカード運転免許証の暗証番号を覚えている方は、ほとんどいないですね」 区役所の窓口担当職員は、私の質問にこう言って苦笑いした。 自治体では2011年から、住民基本台帳カードを交付する際に、窓口でICカード運転免許証の真贋チェックを行っている。偽造した運転免許証を使って他人の住基カードを不正に取得されるのを防ぐためだ。 このときに必要となるのが、免許証を取得する際に登録した、2種類の暗証番号である。免許証の券面に書かれた情報と、暗証番号を使ってICチップから取り出した情報を照合することで、運転免許証が本物かどうかを判別できるわけだ。 日経コンピュータ2012年11月22日の特集「認証“改革”待ったなし」の取材をしていた私は、IC運転免許証による認証が本当に機能しているのかを確かめるため、地元の区役所に実態を聞いてみた。その答えが冒頭の発言というわけだ。 住民が暗証番号を